5Gで変わる未来とリスク:電波強度や電磁波、セキュリティリスクに関するQ&A

2023.06.15 IT・WEB最新トレンド

5Gで変わる未来とリスク:電波強度や電磁波、セキュリティリスクに関するQ&A

2020年から日本でもサービスが開始された第5世代移動通信システム(5G)は、従来の4Gに比べて高速大容量・低遅延・多数同時接続という特徴を持つ通信規格です。 これにより、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末だけでなく、自動運転や遠隔医療、スマート工場などのさまざまな分野で革新的なサービスが提供されることが期待されています。

しかし、5Gに関しては、そのメリットだけでなく、デメリットや危険性についても様々な情報が飛び交っています。 例えば、5Gの電波は人体や環境に悪影響を及ぼすのではないか、5Gはセキュリティリスクが高いのではないか、5Gは高額な料金プランが必要になるのではないか、などです。

そこで今回は、5Gに関するよくある質問に答える形で、電波強度や電磁波への影響などについて解説します。 5Gを利用する際に知っておきたい基礎知識を身につけましょう。

Q1. 5Gの電波強度はどれくらいか?

A1. 5Gの電波強度は、国際的な基準や国内の規制値を満たしています。

5Gでは、従来の4Gよりも高い周波数帯(3.7GHz帯,4.5GHz帯,28GHz帯)が使用されます。 高い周波数帯では、電波の直進性が高くなりますが、反面、建物や樹木などの障害物に弱くなります。 そのため、基地局と端末との間に障害物がある場合は、電波が届きにくくなります。

この問題を解決するために、5Gでは基地局を小型化して多数設置することで、障害物を回避したり反射したりして電波を届ける方法が採用されています。 これを「小セル」と呼びます。 小セルでは、電波の出力を抑えて近距離で通信することで、電波干渉や消費電力を低減する効果もあります。

一方で、小セル化によって基地局と端末との距離が近くなるということは、人体への電磁波曝露も増える可能性があります。 しかし、5Gの電波強度は国際的な基準や国内の規制値を満たしています。 国際的な基準としては、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が定めた電磁波曝露の基準値があります。 この基準値は、人体に有害な影響を及ぼす可能性のある電磁波のレベルを科学的に評価して設定されており、世界各国で参考にされています。

国内の規制値としては、総務省が定めた電波の強さの測定方法及び基準値があります。 この基準値は、ICNIRPの基準値を参考にしており、5Gで使用される周波数帯に応じて以下のように定められています。

周波数帯 基準値
3.7GHz帯 10W/m2
4.5GHz帯 10W/m2
28GHz帯 1W/m2

これらの基準値は、人体に有害な影響を及ぼす可能性のある電磁波のレベルよりも十分に低く設定されており、安全性に配慮されています。 総務省では、5Gのサービス提供者や設備メーカーに対して、これらの基準値を遵守することを義務付けています。 また、5Gの電波強度を測定し、公表することも行っています。

総務省が公表した5Gの電波強度の測定結果では、いずれの場所でも基準値を下回っており、安全性が確認されています。 以下は、2020年12月に測定された東京都内の5Gサービスエリアでの電波強度の一例です。

場所 周波数帯 電波強度
新宿駅西口前(歩道) 3.7GHz帯 0.0008W/m2
4.5GHz帯 0.0006W/m2
28GHz帯 0.0001W/m2
東京駅八重洲口前(歩道) 3.7GHz帯 0.0011W/m2
4.5GHz帯 0.0009W/m2
28GHz帯 0.0001W/m2

以上から、5Gの電波強度は国際的な基準や国内の規制値を満たしており、安全性が確保されていると言えます。

Q2. 5Gの電磁波は人体や環境に影響を与えるか?

A2. 5Gの電磁波は人体や環境に影響を与えるという科学的な根拠はありません。

5Gでは高い周波数帯(特に28GHz帯)が使用されますが、これは非イオン化放射線と呼ばれる種類の電磁波です。 非イオン化放射線とは、原子や分子から電子を奪うことができない低エネルギーの電磁波であり、X線やガンマ線などのイオン化放射線と呼ばれる高エネルギーの電磁波とは異なります。 イオン化放射線は、DNAを損傷したり、細胞分裂を阻害したりすることで、癌や遺伝子異常などの健康被害を引き起こす可能性があります。 しかし、非イオン化放射線は、そのような影響を及ぼすにはエネルギーが不足しています。

5Gの電磁波は、電子レンジや赤外線リモコンなどの日常生活で使われている電磁波と同じ種類です。 これらの電磁波は、人体に吸収されると体温を上昇させることがありますが、その程度は非常に小さく、生理的な恒常性によって調節されます。 また、5Gの電磁波は皮膚や目に吸収されやすいため、深部組織にまで到達することはありません。

5Gの電磁波が人体や環境に影響を与えるという主張は、科学的な根拠に基づいていません。 世界保健機関(WHO)は、非イオン化放射線が人体に有害な影響を及ぼすという証拠は見つかっていないとしています。 また、国際がん研究機関(IARC)は、非イオン化放射線を「発がん性について分類できない」としています。 これは、非イオン化放射線が発がん性であるという十分な証拠もなければ、発がん性でないという十分な証拠もないことを意味します。

5Gの電磁波に関する不安や懸念は、一部の人々や団体がインターネットやSNSで拡散したデマや陰謀論に基づいています。 例えば、5Gが新型コロナウイルスの感染拡大や重症化に関係しているという主張や、5Gが人々の思考や行動を操作するためのツールであるという主張などです。 これらの主張は、科学的にも論理的にも根拠がありませんし、現実的でもありません。

以上から、5Gの電磁波は人体や環境に影響を与えるという科学的な根拠はありませんし、デマや陰謀論に惑わされる必要もありません。 5Gを利用する際には、国際的な基準や国内の規制値を遵守していることを確認し、安心して通信サービスを享受しましょう。

Q3. 5Gはセキュリティリスクが高いのか?

A3. 5Gはセキュリティリスクが高くなる可能性がありますが、対策を講じることでリスクを低減できます。

5Gは、高速大容量・低遅延・多数同時接続という特徴を持つ通信規格ですが、これらの特徴はセキュリティリスクを高める要因にもなります。 5Gでは、さまざまな分野で革新的なサービスが提供されることが期待されていますが、それと同時に、サイバー攻撃の標的や手段にもなり得ます。 例えば、以下のようなリスクが考えられます。

  • ネットワークの複雑化や分散化により、セキュリティの管理や監視が困難になる。
  • 大量のデータや機密情報が流通することで、データの漏洩や改ざん、削除などの被害が増加する。
  • 低遅延や高信頼性を要求するサービス(自動運転や遠隔医療など)が攻撃されると、人命や社会インフラに重大な影響を及ぼす。
  • IoT機器の増加に伴い、セキュリティ対策が不十分な機器が攻撃の踏み台や悪用される。
  • 5Gの技術や機器の供給に関する国際的な競争や対立が、サイバー空間での紛争やスパイ活動につながる。

これらのリスクを回避するためには、5Gの利用者や提供者はセキュリティ対策を強化する必要があります。 5Gのセキュリティ対策には、以下のようなものがあります。

  • 5Gのネットワークや機器の設計・開発・運用・保守において、セキュリティを最優先に考慮する。
  • 5Gのネットワークや機器のセキュリティレベルや脆弱性を定期的に評価し、改善する。
  • 5Gのネットワークや機器に対するサイバー攻撃を検知し、迅速かつ効果的に対応する。
  • 5Gの利用者は、パスワードや暗号化などの基本的なセキュリティ対策を実施し、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐ。
  • 5Gの提供者は、利用者に対してセキュリティに関する情報や注意喚起を行い、意識を高める。
  • 5Gの利用者や提供者は、政府や産業界と連携し、セキュリティ情報の共有や協力体制の構築を行う。

以上から、5Gはセキュリティリスクが高くなる可能性がありますが、対策を講じることでリスクを低減できます。 5Gを利用する際には、セキュリティに関する知識や意識を持ち、安全かつ快適な通信サービスを享受しましょう。

まとめ

今回は、5Gに関するよくある質問に答える形で、電波強度や電磁波、セキュリティリスクなどについて解説しました。 5Gは、高速大容量・低遅延・多数同時接続という特徴を持つ通信規格であり、さまざまな分野で革新的なサービスが提供されることが期待されています。

しかし、5Gには電波強度や電磁波に関する誤解や不安が広がっており、またセキュリティリスクも高まる可能性があります。 これらの問題に対処するためには、科学的な根拠に基づいた正しい知識や意識を持ち、適切な対策を講じることが必要です。 5Gを利用する際には、国際的な基準や国内の規制値を遵守していることを確認し、安心して通信サービスを享受しましょう。

みなさまの成功や幸せへのヒント・気づきになれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。